第72回 知の拠点セミナー

第72回 知の拠点セミナー
講演1 「スパコンを使いこなす!~スパコン利用技術の重要性とその課題~」 / 講演2 「海底の泥が語る、太古の海の姿」

日時 平成30年3月16日(金) 18時00分~20時00分(※17時30分から受付開始)
場所 京都大学東京オフィス
(東京都千代田区丸の内1-5-1 新丸の内ビルディング10階:アクセスマップ
プログラム
18:00-19:00
講演1 「スパコンを使いこなす!~スパコン利用技術の重要性とその課題~」

滝沢 寛之(東北大学サイバーサイエンスセンター 教授)
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19:00-20:00
講演2 「海底の泥が語る、太古の海の姿」

黒田 潤一郎(東京大学大気海洋研究所 准教授)
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講演1:「スパコンを使いこなす!~スパコン利用技術の重要性とその課題~」

滝沢 寛之(東北大学サイバーサイエンスセンター 教授)

写真(講演者)

 最先端科学技術のさらなる進展のためにスーパーコンピュータ(いわゆるスパコン)はすでに必要不可欠な存在となっており、現在、世界中でし烈なスパコン開 発競争が行われています。近年、コンピュータの性能を向上させるのは徐々に難しくなってきており、その技術的課題を解決するためには様々な「工夫」が必要 になってきました。その結果として、スパコンの構成はますます大規模で複雑になり、しかも様々な工夫を取り入れた多様なスパコンが登場するようになってきています。

 スパコンはただ設置しておくだけでは何も価値を産み出しません。その性能を十分に引き出し、活用することによってのみ、科学技術の進展に資することができます。しかし、現在のスパコンですら大規模で複雑であり、その性能を引き出すためには多岐にわたる専門知識と多大な労力が必要になります。さらには、消費電力やシミュレーション実行中にスパコンの一部が故障した場合への対応など、将来のスパコンを活用するためにはより多くのことを考えなければなら なくなるでしょう。

 本セミナーでは、将来の大規模で複雑なスパコンを活用するための技術的な課題をいくつか示し、特にスパコン向けのプログラム開発を効率化することの重要性・必要性を中心にお話します。また、そのようなプログラム開発において、従前では熟練のプログラマによる経験と勘に頼って行ってきた判断の一部を、人工知能・機械学習技術で代行する研究の成果等を紹介します。

「スパコン多様化時代のプログラミング環境に関する研究の紹介動画」

 

講演2:「海底の泥が語る、太古の海の姿」

黒田 潤一郎(東京大学大気海洋研究所 准教授)

写真(講演者)

 国際深海科学掘削計画(International Ocean Discovery Program, IODP)は、海洋底の掘削により地球システムの包括的理解を目指す多国間共同研究プロジェクトです。日本が誇る地球深部探査船「ちきゅう」や、米国の掘削船「JOIDES Resolution」などがこのプロジェクトで活躍しており、世界中の様々な海洋底で掘削計画が行われてきました。これらの掘削船は様々な分析機器を備えており、さながら洋上の研究所のようです。この計画により、プレートテクトニクスの検証や氷期-間氷期気候変動の解明、海底下の地下圏生命圏の発見や、巨大地震断層の回収など、華々しい科学成果が得られてきました。

 私のセミナーでは、深海掘削を通して見えてきた太古の時代の海洋のダイナミックな変動についてご紹介したいと思います。今回は、およそ600万年前に地中海で起こった大事件に注目します。この大事件は現在もなお未解明のままで、世界中の研究者が全容解明を目指して研究を進めています。深海掘削で得られた海底の堆積物を分析・解析することで、現在私たちが見ることができる海洋の姿と全く異なる環境が作り出されていたことが明らかになってきました。私も乗船した2011/2012年のJOIDES号の研究航海の様子や、今後実施に向けて進められている研究計画などを分かりやすく解説したいと思います。

「JOIDES Resolution 号での掘削航海」

 

 

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