第77回 知の拠点セミナー

第77回 知の拠点セミナー
講演1 「巨大ガス惑星に吹く風の謎」 / 講演2 「ビールの泡から最先端ナノ材料開発」

日時 平成30年8月24日(金) 18時00分~20時00分(※17時30分から受付開始)
場所 東京大学地震研究所1号館2階セミナー室 ※6月から開催場所が変わりました
(東京都文京区弥生1-1-1:アクセスマップ)南北線東大前駅徒歩約5分
プログラム
18:00-19:00
講演1 「巨大ガス惑星に吹く風の謎」

竹広 真一(京都大学数理解析研究所 准教授)
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19:00-20:00
講演2 「ビールの泡から最先端ナノ材料開発」

村松 淳司(東北大学多元物質科学研究所 所長/教授)
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講演1:「巨大ガス惑星に吹く風の謎」

竹広 真一(京都大学数理解析研究所 准教授)

写真(講演者)

 20 世紀後半に始まった探査機による木星と土星の観測により、これらの巨大ガス惑星には、赤道付近の時速数百から千キロメートル程度のとても速い西風と、中高緯度の縞帯状のパターンに対応して向きを違えた東西ジェット風が吹いていることが知られるようになりました。このような風がなぜ、どのようにして吹いているかの科学的説明がいくつも試みられてきていますが、未だに結論が出ていません。

特に、赤道で西風が吹くことは自転軸から一番遠い場所で自転より速く大気が回っていることを意味しており、流体力学の観点からちょっとした謎と考えられてます。単純な角運動量保存則では自転軸から一番遠い場所では他の場所よりも減速されねばならず、何らかの加速メカニズムが必要となります。そのため、赤道で西風が吹いていることを「赤道加速問題」と呼ぶこともあります。

中高緯度の互い違いのジェット風も地球とは全く異なった吹き方をしています。地球では南北各半球に西風ジェット風が 1 本づつしか吹いていません。多数のジェット風がなぜ吹くことができるのか、という謎も流体力学の興味深いテーマとして研究されてきています。

 この講演では、最新の Juno 探査機による結果を交えた巨大惑星の大気観測を紹介し、これまでの流体力学に基づいた理論と数値シミュレーションを解説し、巨大惑星に吹く風の謎に迫ってみたいと思います。

 

講演2:「ビールの泡から最先端ナノ材料開発」

村松 淳司(東北大学多元物質科学研究所 所長/教授)

写真(講演者)

 ビールの泡、温泉、豆腐、牛乳など、いずれもコロイドの世界です。暗い部屋で一筋の太陽光が通ると、きらめいて見える散乱も、そう。このコロイドのサイズが小さくなるとナノ粒子です。最先端ナノ材料の開発は、この自然の現象を真似て行っています。未来の液晶テレビは、画用紙のように丸めて保存できるでしょう。未来の自動車は太陽光をエネルギーに変えて自動運転で自走するでしょう。そんな夢のような技術を実現するのが、ナノ材料なのです。

 

 

 

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